司法書士・土地家屋調査士 田中大介事務所 > 記事コンテンツ > 成年後見制度における登記の役割と手続・登記事項について
法定後見や任意後見を始める際にも登記が行われます。後見人や被後見人などが直接行う必要はありませんが、成年後見制度は今後の生活にも大きく関わるものですし、理解を深めるためにも「成年後見制度における登記」について知っておきましょう。後々登記事項に変更が生じた際には変更登記の申請を行う必要があります。
「登記」とは、権利等を公に示すための制度です。重要な情報を公示することで、権利の保護や取引の安全を確保するのが制度の主な目的です。
登記が利用されているのは成年後見制度だけではありません。むしろ不動産登記の方がメジャーであり、不動産の売買や相続・贈与の場面で所有権移転等の登記が行われています。不動産取引を行う相手方が「この不動産の所有権は誰にあるのか」「この物件に担保権は設定されていないだろうか」といったことを確認するために登記は役立っています。
ビジネスにおいても登記は重要な役割を担います。会社が存在していることを登記によって確認することができますし、会社の重要な情報・役員の情報などもそこには登録されており、取引をしようとする相手方が「この会社は実在するのか」「誰が代表者なのか」を事前に知り、安全に契約を交わせるようにできています。
成年後見制度に基づいて行われる登記も、他の登記制度と根本的な意義は同じです。「後見制度を利用している人物である」という事実を確認するために登記事項を確認することがあるのです。
例えばある人物を重大な契約を交わすとき、もしその相手方が成年後見制度の適用を受けていると、後から契約を取り消されるリスクがあります。このような事態を回避し、安心して取引を交わすには、「成年後見制度を利用していないことの証明」が必要です。
成年後見登記の制度では「登記されていないことの証明書」を受け取ることもできますので、成年後見制度を利用している方や利用していない方も、この登記制度を活用する機会があります。
成年後見制度には、「法定後見」と「任意後見」の2種類があります。判断能力が衰えてから利用手続を開始するのが法定後見。事前に本人が契約を交わして備えておくのが任意後見です。
利用開始までの流れがそれぞれ異なり、登記を行うタイミングなども異なります。
法定後見には①後見、②保佐、③補助の3つの類型がありますが、基本的な手続の流れは同じです。家庭裁判所に申し立てを行い、審理を受け、審判が下された後に登記がなされます。
《 登記までの流れ:法定後見 》
任意後見を始めるためには、本人と後見人となる人物(任意後見受任者)とが任意後見契約を交わさないといけません。ここから始まり、実際に後見が必要な場面になってからさらに家庭裁判所に申し立てをしたうえで、その効力が生じます。
《 登記までの流れ:任意後見 》
成年後見制度に基づいてどのような情報が登記されるのか、登記事項についても簡単に紹介します。
法定後見における登記事項 |
|---|
・後見、保佐、補助のいずれの類型か |
任意後見における登記事項 |
・公正証書を作成した公証人の情報 |
後見を始めるとき、本人が登記申請を行う必要はありません。裁判所や公証人の方で処理を進めてくれるためです。
一方で、後見が始まった後で登記事項について変更が生じたとき、変更登記の申請を本人らが行わないといけません。
※被後見人等が亡くなって後見が終了したときも申請を行う。
ただ、必ずしも本人が行う必要はありません。不動産登記や商業登記と同じように、登記のプロである司法書士に代行してもらうことも可能です。専門家に任せておけば余計な不安を抱く必要もありませんし、手間もかかりません。