司法書士・土地家屋調査士 田中大介事務所 > 記事コンテンツ > 不動産登記の種類を基礎知識からわかりやすく解説
土地や建物といった不動産は、高額な資産であると同時に、所有権や利用権に関するトラブルが発生しやすい対象でもあります。
不動産の権利関係を公に記録し、安全な取引を支えているのが、不動産登記制度です。
今回は、実務でよく使われる不動産登記の主な種類について、基本的な知識とともに解説します。
まずは、不動産登記の基礎知識を確認していきましょう。
不動産登記とは、法務局に備えられた登記簿に、不動産の所在地や面積、所有者などの情報を記録する制度です。
登記簿に記録された内容は「登記事項証明書(登記簿謄本)」として誰でも閲覧でき、取引の際の確認資料として利用できます。
不動産登記の最大の目的は、「権利関係の明確化」「対外的な公示」です。
たとえば、土地の所有者が誰なのかを登記簿で確認できれば、第三者もその内容を信頼して取引に臨めます。
不動産登記は、不動産に関する安全なやり取りを支える基盤ともいえる仕組みです。
不動産登記には、記録される情報の性質によって、いくつかの種類があります。
登記簿は「表題部」と「権利部」に分かれており、それぞれに異なる内容が記録されています。
表題部には、不動産の「物理的な情報」が記載されます。
たとえば、土地であれば地番や地目、面積などです。
建物であれば種類、構造、床面積などが対象になります。
権利部には、不動産の「法的な権利関係」が記録されます。
たとえば、所有権や抵当権、地上権、賃借権などです。
「甲区(所有権に関する事項)」と「乙区(所有権以外の権利に関する事項)」に分かれて管理されています。
不動産登記は、主に以下の5つがあります。
それぞれ確認していきましょう。
表題登記は、不動産そのものを登記簿に登録するための手続きです。
「この土地・建物はこういうものです」と公的に記録するための登記になります。
登記内容には所在地、地目、面積、構造などの物理的な情報が記載されます。
特に「建物表題登記」は、新築された建物や未登記の建物を取得した際に必要です。
不動産を取得してから1か月以内に申請しなければならないため、忘れずに対応することが求められます。
所有権保存登記は、登記簿にまだ所有者が記載されていない不動産に対して所有者を登記する手続きです。
前述の登記簿の「権利部」で、誰がこの不動産の所有者かを記録するものであり、持ち主をはっきりさせるための重要な登記となります。
新築した場合や、未登記の不動産を相続などで取得したときに行われるのが一般的です。
所有権保存登記を済ませれば、抵当権の設定や売却といった今後の手続きがスムーズになります。
所有権移転登記は、すでに登記されている不動産の所有権を別のひとへ移すときに行う手続きです。
たとえば不動産の売買、贈与、相続などがあった場合に、こちらの登記が必要になります。
所有権移転登記により、新たな所有者が法的に認められるようになります。
固定資産税などは登記簿上の所有者に課税されるため、移転登記が完了すれば、新しい持ち主へ納税通知が届きます。
登記が遅れるとトラブルにつながるケースもあるため、早めの対応が重要です。
抵当権設定登記は、不動産を担保にして融資を受けるときに必要となる登記です。
たとえば、住宅ローンを組む際は、金融機関が貸付金の保全のために不動産に抵当権を設定します。
抵当権設定登記をすれば、もしも借り手が返済できなくなった場合、金融機関はその不動産を差し押さえて競売にかけられます。
つまり抵当権設定登記は、金融機関が安心して融資できるようにするための「リスク回避」の手段です。
借入金を完済したら、抵当権抹消登記という別の手続きを行います。
根抵当権設定登記は、将来発生する複数の債権をまとめて担保にするための登記です。
通常の抵当権が特定の借金を担保するのに対し、根抵当権は「一定の範囲内で繰り返し発生する借金」を担保します。
たとえば事業者が銀行と取引を続けるなかで、都度融資を受けたり返済したりするようなケースでは、そのたびに抵当権を設定・抹消するのは面倒です。
そこで、最初に一定の限度額を設定した根抵当権を登記すれば、複数回の融資や取引に対応できるという仕組みになります。
取引が終了し、もう担保として保持する必要がなくなった場合には、根抵当権抹消登記をする必要があります。
不動産登記は、単に名義を記録するだけではなく、所有権や利用権、担保権などのさまざまな権利関係を公的に明示するための重要な制度です。
登記の種類によって、必要となる書類や手続きも異なります。
手続きなどに不安があれば、司法書士などの専門家に相談してください。