司法書士・土地家屋調査士 田中大介事務所 > 記事コンテンツ > 相続開始から不動産の遺産分割、相続登記までの流れ
夫や妻、父や母、子どもなどが亡くなったときは、その方を「被相続人」とする相続が開始されます。被相続人が不動産を持っていたときは不動産を相続するための手続が必要となり、物件の調査や遺産分割方法の検討、そして所有権の登記なども進めなくてはなりません。
しかし「何をしないといけないのかがわからない」という方がほとんどだと思われます。当記事ではそのような方に向けて、全体の流れがイメージできるように不動産相続の手続をご紹介いたします。
相続手続全体の流れは次の通りです。
準確定申告は、亡くなった方についての確定申告が必要な場合に限って必要な手続ですが、もし必要なときは相続開始を知った日の翌日から4ヶ月以内に済ませる必要があります。相続税の申告に関しても常に義務になるわけではありません。しかしその義務があるかどうかを調べるためにも計算が必要で、申告および納税の義務が課されるときは10ヶ月以内に済ませないといけません。
そして相続税の申告をするにはご自身が取得する財産が確定していないといけません。つまり、期限は法定されていないものの遺産分割協議も早めに終わらせておかないといけませんし、そのためには遺産や法定相続人の調査も進めていないといけません。
遺産に不動産があるときの手続について、それぞれ説明していきます。
まずはその存在の確認と、物件の詳細情報をチェックするため、調査を行いましょう。
土地や建物に関しては、亡くなった方の自宅を調べて「登記識別情報通知書」を探してみましょう。登記識別情報通知書があれば地番や家屋番号を把握することができます。また市町村役場で「名寄帳」も発行してもらうといいです。当該自治体にある被相続人の不動産を一覧で確認することができますので、認識できていない物件を見つけられるかもしれません。
そして不動産の所在が確認できれば、次に「登記簿謄本」を取得しましょう。登記情報からは所有者や担保権設定の有無などが確認できます。
その他の財産調査も完了すれば、相続人全員で遺産分割協議を始めます。この場で、不動産を取得する人物を決めます。
必ずしも所有者を1人にする必要はありませんが、共有をしていると今後の管理で困ることが出てきますので要注意です。例えば処分をしたくなっても共有者間で意見をそろえることができなければ取り扱い方法についての意思決定ができません。
運用方法をめぐって揉めるリスクもありますので、基本的には「1人の所有者を定める」、あるいは「売却してその代金をみんなで分け合う」という分割方法も検討しましょう。
※前者を「現物分割」、後者を「換価分割」と呼ぶ。
不動産を取得する方に金銭的な余裕があるなら、「代償分割」というやり方もあります。不動産を1人が取得することで相続人間の利益に偏りが生じるときでも、偏った分について代償金を支払うことができれば、是正できます。
分割方法で悩むこともあるかと思いますが、その場合は無理に家族間・親族間で解決しようとせず、司法書士など、不動産や法律のプロにご相談ください。
遺産分割協議で無事不動産の所有者が定まれば、名義変更の手続へと進みましょう。
すべての財産について名義変更の手続が発生するわけではありません。例えば現金については実際に受け取れば所有権が移転しますし、基本的には別途作業を行う必要がありません。
しかし登録制度を採用している特定の財産に関しては、対外的にその所有を示すため、制度に則り手続を進めなくてはなりません。
不動産に関しては登記が必要で、相続によって取得したときの登記を特に「相続登記」と呼んだりもします。
※相続登記は2024年4月から「しないといけないもの」になった。法律上の義務を果たさない場合、過料と呼ばれるペナルティも課される。
登記申請は法務局で行います。申請書を作成し、遺産分割協議書の写しやその他必要書類を添付して、所有権が被相続人から移転したことを記録してもらうのです。
不動産の所有権という重大な権利を扱う手続ですし専門性も高いです。安全を期すため、登記の専門家である司法書士にご依頼ください。
不動産に関わる重要な手続に焦点を当てて解説をしてきましたが、他にも相続に関連する手続はたくさんあります。期限の問題もありますし、ミスによる財産喪失の危険性、親族間でのトラブルが起こるリスクなども考慮し、難しいことはプロに任せていただければと思います。
司法書士など相続手続に強い専門家を利用すればご本人がしないといけない作業は大幅に縮小されますので、時間の浪費も防ぐことができます。大きな手間がかかることによる精神的な負担も軽くなることでしょう。